昨年、読売ジャイアンツの澤村拓一投手が、鍼灸の施術ミスによって故障したというニュースがありました。
選手寿命という肉体的制限があるスポーツ選手にとって、故障は人生を棒に振る一大事です。
どんな故障であっても、選手にとってはつらいものです。
ましてやその故障が、本人自身によるものではなく、良かれと思って受けた鍼灸施術のミスであったなら、その悔恨はなおのことであります。澤村投手の心の内はさぞかし穏やかではないだろうと、鍼灸施術者としては申し訳なく感じるところもあります。
その一方では、鍼灸を生業としている者からしますと、このニュースは「本当かな?」と思う部分もあります。
こういった事故は、全体やってはいけないものとして、トレーナーも十分承知していたはずですし、また、鍼施術でここまで神経を痛めることは考えられません。
と、どうしても真実はどうなのだろうと推測したくなるのですが、事実は当事者に直接聞いてみないと分らないことでもありますので、その真相についてはここでは語りません。
しかし、このニュースによって“鍼灸は危険なもの”とか、“鍼灸は前近代的なもの”といった印象が巷に広がってしまったことは非常に残念なことであります。
スポーツにとっても、鍼灸はとても有効な施術で、ケガの予防やケガの回復などにとても役立つものですが、このニュースによってアスリートの方々に、鍼灸の恩恵が伝わらなくなってしまうことも、非常に残念であります。
そこで、そういった鍼灸師の心を代弁するように、全日本鍼灸学会をはじめ、業界9団体が読売ジャイアンツへ公開質問状を送付しておりました。正直、その質問状の内容はとても甘いものですし、実際に業界団体が直接検証するものではないため、やはり鍼灸業界は弱いものだと思ったのでありますが、それでもその行動は勇気あることであるので、小さな一歩ではありますが、鍼灸の存在感を多少なりとも示せたのではないでしょうか。
ということで、その質問状に対する読売ジャイアンツの回答が、関係冊子に掲載されましたので、ここにも載せたいと思います。
特にここで何か言うつもりはございませんので、たまたまご覧になった方々はそれぞれにお考えいただけたらと思います。
都内で鍼灸師をしています。国際中医師の免許を取得するため、勉強中であります。
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