- 著者 李時珍
- 翻訳 勝田正泰
- 出版社 東洋学術出版社
- お薦め度 ☆☆☆☆
- 李時珍の『奇経八脈考』を翻訳・解説した本として、読んでおきたい一冊です。正経と並んで、どうして故人が「奇経」の存在を知ったのか、その一端を知ることは、臨床の幅を広げることにもなります.。
世界史の授業で、李時珍の『本草綱目』という人名と書名を暗記した方もいらっしゃるかと思います。李時珍は明時代の医家であり、『本草綱目』の他に『瀕湖脉学』という脈の本を著し、そしてこの奇経八脈を研究した『奇経八脈考』も著しています。
[quads id=4]『黄帝内経』に既に奇経の話しは出ており、『難経』にもまた奇経のことが記されています。しかし奇経を研究し、重視した書物は少なく、未だに解明されていないところも多くあります。臨床的には公孫-内關、足臨泣-外關、後谿-申脉、列缺-照海という四つのセットを使用した八宗穴治療と呼ばれる簡便なものに利用されたりします。
[quads id=5]しかし、実はそれだけではない深いものが奇経にはあります。奇経とは、縦の経絡である十二正経を結ぶ絡脈の中でも、特異的な働きをするものです。奇経と十二正経との関係は、湖沼と川との関係に喩えられます。十二正経が川としますと、十二正経の川が氾濫をしたとき、その溢れた川の水を逃がしていくのが湖沼である奇経となります。つまり、奇経と正経はお互いを助け合う存在で、お互いの気血を補完しています。
奇経の研究は、古医書医学に新しい可能性を引き出す古くて新しい分野だと思います。李時珍が研究した『奇経八脈考』を基礎に、奇経の勉強を始めることをお勧めいたします。
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東京都内で鍼灸院を営んでおります。
古典的な鍼灸を追究しながら、東洋医学の可能性を拡げていきたいと思っています。
みなさまのお役に立てる記事を掲載できたらと思います。
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